「……なにしてるの」



突如、上から声がふってきた。



低いのに透き通るような声で、黒髪さらさらイケメンで、黒縁メガネで。



「蒼士、おはよ」



……多分、一般的に女子からモテるのは、こっちのタイプ。弦は、チャラいと言われているから。



でも、私は……弦がチャラいだけの人間じゃないと、知っている。一途なやつだと、強いやつだと。



それを本人に伝えないのは……私の、弱いところ。悪いところ。



はやく、嫌われてしまえたら。終わりがみえてきたら。



多分、とてつもなく楽だ。



それができないのは、まだ、諦めていないから。弦の本当の気持ちは、違うのではないか、と淡く思っているから。



そんなわけ、ないんだけど。ね。