「だい、じょうぶですっ」



強がり。お願い、いまだけ、強がりを吐かせて。そうしないと、保てないから。



「……ん、そっか」



いまだ顔をあげられない私に、あたたかな手がのせられる。ぽんぽんと頭をなでられ、再び……。



「っ、ごめんなさい……」



ぽつぽつ。感情の雨が、細かく降りゆく。



茶髪。ふわふわ。大きな瞳。平行な眉。……そんな彼の、綺麗な姿もみえなくなった。



「ん」



彼はほとんど言葉を発さず、ただ抱きしめてくれていて。



そんな彼のあたたかな胸の内に甘えて、縋るように泣きわめいたことを覚えている。