最悪ポイント、その3。
正直、これが一番ストレスかもしれない。
────5限。
チャイムとともに始まったのは、担任のニッセンが受け持つ化学の授業だ。
「じゃ、小テストするぞー」
ニッセンの授業の特徴は、毎回、授業のはじめに小テストを行うことである。
基礎を忘れないための反復学習の一環として取り入れているんだそう。
そのシステム自体は、すごく良いと思うんだけど。
……なんて考えながら、なんとか解答欄を埋めたところで、与えられた5分が終わる。
憂鬱なのは、ここからだ。
「いつも通り、隣の人と交換して丸つけなー」
間延びしたニッセンの声。
ニッセンが悪いわけじゃないのに、ため息をつきたくなる。
私の憂鬱の原因は “これ” なのだ。
「……」
渋々、佐和くんと解答用紙を交換した。
赤ペンに持ち替えて、配られたプリントに記載された答えを見ながら採点していく。
……佐和くんって、小テストのある教科は絶対さぼらないよね。
それは、きっと、たまたまなんかじゃない。
先生からの信用を得るために、狙ってやっていることなんだろうけど。
私としてはいい迷惑である。



