私が黙り込んだのをいいことに、佐和くんが悪意のある刃でぐさぐさ刺してくる。
「異性どころか同性もだめだもんなあ、おまえ」
「え……?」
「仁科と別れるまで一人もいなかったらしいじゃん? お友達」
佐和くんは、私の地雷を踏むのが上手い。
的確に嫌なところを突いてくる。
「最近は、遠藤さんと仲良いみたいだけど」
柔らかくて弱いところを、
引きずり出すように触れてくる。
でも。
「……どうでもいいよ、そんなこと」
佐和くんには関係ない。
冷たく吐き捨てた私の横顔をちらりと見て、佐和くんは何事も無かったかのように頬杖をついた。
本当に興味なさげな顔。
「……隣の席、わざわざ私のままにしておく必要ってあった?」
ふと気になってたずねる。
私に何の関心もなさそうなくせに、あのとき北村さんと席を交換するのをとめたのはなぜ?
「……気分」
「はい?」
「だから、気分だって。何となくそういう気分だっただけ」
絶句。
気分屋とかそういうレベルを超えている。
ただのジコチューじゃん。
むっとして言い返そうとした、そのタイミングで佐和くんが再度を口を開いて。
「まあ、楽しいんじゃない? 久住さんと隣の席も、案外」
「……っ」
「隣の席、これからよろしく」
楽しいってどういう意味で。
案外ってどの分際で。
「私は全くもって、よろしくしないから!!」
────ああ、
最悪な一ヶ月の幕開けだ。



