「じゃあ久住さん、日誌書いてくれない?黒板消し終わったら手伝うから」


「わかった、ありがとう」




爽やかスマイルとともに差し出された日誌。

受け取るために少し近づくと、佐和くんの制服のネクタイが視界にちらついた。



あれ……?


ふと感じた違和感。
ほんの僅かなそれに一瞬頭の中が支配されたけれど、その理由はわからなくて。



気のせいかな、と気を取り直して日誌を受け取る。




適当な席に座って、ペンケースからお気に入りのミントグリーンのシャーペンを取り出して。



日付、曜日、日直氏名、欠席遅刻者……。

上から順番に欄を埋めていって、最後に残ったひとつの枠でぴたりと手が止まった。



〈 日直からのひとこと 〉



んん、どうしよう。
何て書けばいいのかな。


こういうの、すごく苦手。
昔流行ったプロフィール帳でも、フリースペースってなにを書けばいいんだろうって困った記憶があるもん。



空欄と向き合いながら、ひとり頭を抱えているとカタン、と椅子を動かす音がして。


思わず顔を上げたと同時に、日誌がひょいと取り上げられた。