私の剣幕に佐和くんは目を見開いて、それからふっと鼻で笑う。
「バイ菌……ね。お子ちゃま思考」
「な……っ!?」
こっちは心配して言ってるのに。
むすっと頬を膨らませていると。
「じゃあなに? 一緒に保健室行こうってこと?」
「っ、違……!」
佐和くんが言うと、どうしてこんなに卑猥に聞こえるの。
眉間に皺を寄せつつ首を横に振る。
それに、佐和くんと一緒じゃなくても保健室にはなるべく近づきたくない。
……苦手なんだ。
「そう。それなら俺は別にこのままで良────」
「良くないよ! 私、消毒液と絆創膏、持ってるから……!」
佐和くんのことは大嫌い。
だけど、痛々しい傷を見て放置できるほど無慈悲なわけでもない。
鞄の中からごそごそと救急セットを取り出していると。
「へえ。……久住さんにも女っぽいとこあるんだ。怪獣のくせに」
「っ、怪獣で悪かったですね!!」
ふん、と顔を背けて。
佐和くんの方は見ないまま。
「手、出して!」



