佐和侑吏くん。
クラスメイト。
席は私のふたつ前。
ちなみに出席番号はふたつ後ろ。
今日のもう一人の日直である彼について私が知っている情報はその程度。
なにしろ今年初めてクラスが一緒になったばかりで、まともに会話したことすらないんだもの。
でもそんな私でもわかる事実がひとつだけある。
さらりと揺れる黒髪、きりっとした眉に綺麗な瞳。整った顔のおまけには高身長。
そう、佐和くんは紛うことなき “イケメン” なのだ。
そしてそれは私たちの学校では周知の事実。
実際に日直のペアが佐和くんだって言うと、麻美から『なにそれ羨ましい〜〜っ』と羨望の眼差しを頂戴したほど。
だけど、私が佐和くんのことを絶賛するのにはまだ理由があるんだ。
それはその品行方正さ。
男子高校生ともなると制服を着崩したりしてみたくもなるだろうけど、佐和くんはいつもきっちり着こなしている。
先生と話すときの言葉遣いだって丁寧で。
───まさに、ミスターパーフェクト。
外見から行動まで、完膚なきまでに爽やかイケメン。
深く関わったことはないけれど、きっと性格まで完璧なんだろうな。
きっと佐和くんは天から二物を与えられた存在なんだ、とさえ思ってしまう。