墜落的トキシック




「おおよそ、俺と仁科を比べたってところだろ」



なるほどな、と呟いた佐和くんに何も言い返せなかった。



───正確には、“比べた” とはちょっと違う。



佐和くんのことを考えると、ハルならこうなのにって頭の中をよぎる。



それは、多分
私がずっとどこかで佐和くんのことを、爽やかで────ハルに似ていると思っていたから。




……そういうこと。





「仁科のどこがそんなにいいの」


「どこが……って」





どこが、なんて。そんなの。




「優しいところ。あったかくて、そばに居ると安心するの。いつでも一番欲しい言葉をくれる。佐和くんとは正反対で、校則違反も女の子をたぶらかしたりもしない……ほんものの爽やかだもん」



「そんなのわかんねーよ。 仁科だってその辺の男子高校生と同じ。 どこでなにしてるかなんて────」




むっ、とした。

ハルは佐和くんとは全然違う。




「ないよっ!! ハルはそんなことしない! ────それに」





ハルのどこがいいか

どこが好きなのか、なんて。



言葉にするとすごく薄っぺらく聞こえる。




でも、結局は。




「もしも、ハルが私が思っているようなひとじゃなくても。たとえば、佐和くんと同じことをしているとしても」



「……」



「私、たぶんそれでもハルが好きだと思う。……全部なの。ハルなら全部、好きなんだもん」