墜落的トキシック



悪いイメージばかりが先走っていたけれど、警戒していたほど意地悪されることはなくて。



危ない作業は引き受けてくれるし、何でもてきぱきと効率よくこなすし、転びそうになった私を助けてくれたみたいだし。




案外、紳士なところもある。

“爽やか” も完全に偽物ってわけじゃない?





「……あ、」





嫌悪感だけをむき出しにしていたことを少し反省して。


ありがとう、と今度こそは心から言おう。


そう思ってちょうど口を開きかけたタイミングで。





「つーか、仮にも女なんだからもうちょっとマシな悲鳴なかったの? ぎゃあ、って。 怪獣かよ」




鼻で笑った佐和くん。

こいつ……っ!!



もう少しで声に載せるところだった “ありがとう” を超高速でしまい込んだ。





「っ、前言撤回!!」


「前言……って、おまえ何も言ってないけど」


「こっちの話!! やっぱり佐和くんなんて、大ッ嫌いだ!」





甘かった。

ちょっとでも見直しかけた私が間違っていた。