墜落的トキシック




「っ、ぎゃあ……っ!」




無理に押し込まれて、ちょっとやそっとの力じゃ動かなくなっていた資料を思いきり引き抜いた勢いで、そのまま身体ごと後ろに傾く。



倒れる……っ!



衝撃を覚悟してきゅっと目をつむった瞬間、背中がとん、となにかに触れた。





「……馬鹿」


「っ!」





そのままなにかに支えられて、転倒を回避したものの。

目を開くと、その “なにか” の正体が佐和くんだということに気づいて慌てふためく。



彼の腕がしっかりと腰に回されていることを理解した瞬間、弾かれるように身じろぎした。




「は、離してっ!」


「……危機管理能力がない上に、礼の一つも言えないわけ?」





はあ、とため息をついて、佐和くんは私の身体を解放した。


呆れたようなジト目で私を見下ろしながら、佐和くんはもう一度口を開いて。





「……で、どこまで資料整理終わった?」


「え、えっと……あとその一番上の棚を整理したら終わりだけど─────って」





目を見開いた。

突然固まった私に、佐和くんは怪訝な表情になる。