「悪くない、し……えっと……その」
私だって、と心の中でつぶやく。
でも侑吏くんみたいに素直になる可愛げは持ち合わせていなくて。
「侑吏くん、手出して!」
「は? 何、いきなり」
「いいからっ」
何の脈絡もない私の言葉に侑吏くんが手のひらを差し出した。
すかさずその上に自分の手を重ねて。
ずっとポケットに入れていた包みを乗せる。
キラキラのビニールでラッピングされたそれ。
「何これ」
驚いてまじまじと見つめる侑吏くん。
「……プレゼント」
「誕生日まだ先なんだけど」
「わかってるよ」
そのまま目の前で包みを開いた侑吏くん。
中から現れたのは、赤い石のピアス。
ガーネット、1月の誕生石。
「ピアス……?なんで?」
「っ、」
首をかしげる侑吏くん。
思わず目をそらした。
本当はプレゼントっていうより、押しつけだ。
私のただのわがまま、なんだけど。
「……他の女の子にもらったピアス、付けないで」
見るたびもやっとするんだもん。
深い意味がなくても、やだよ。
だって、侑吏くんはその人と、したんでしょ。そういうこと。
「は。かわいーこと言うじゃん」
ふ、と笑った侑吏くん。
その笑顔が柔らかくて、優しい。
そして、目の前でピアスを付け替えてくれる。黒から赤。
私の誕生石、なんていう一丁前の独占欲つきだ。



