あてもなく探し回ること十数分。

侑吏くんの行動範囲なんて知る由もないのだから、やみくもに探すしかない。
路地をしらみつぶしにあたっている。


わからないんだよ。
ハルとは違って侑吏くんのこと、全然知らないもん。


行きそうなところも、好きなものも、まだまだ全然知らない。
そもそも、もともと私と侑吏くんは相性最悪なんだから、考え方も行動も全然理解できない。



でもそんなの今さらだ。
告白するのが今さらだったら、相性が悪いのも今さらなの。


わからないから、わかりたいと思う。
知らないから、知っていきたい、これから。



恋はするものじゃなくて落ちるものだ、なんてよく言ったものだ。
好きになるはずなかったのに、好きになりたくもなかったのに、こんなにも抗えないなんて。



歩き続けて、息が上がって。
ふと視線を遠くに向けると、傘を差す誰かの後ろ姿。


遠くて、小さくて、傘のせいでよく見えなくて。



────なのに。
いつからその背中を見間違えなくなっていたのだろう。



走って、追いかけて、そして追いついた。