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翌日。


侑吏くんに告白すると決めたものの、いつ声をかけようかとタイミングを伺っているうちに午前の授業が終わり、午後の授業も終わり。
ついに終礼が始まってしまった。



ニッセンの話す連絡事項を耳に入れつつ、小さく息をつく。



委員会での関わりがなくなると、話しかける理由もきっかけも難しい。
侑吏くんに声をかけるのって、こんなに大変なことだったっけ。


朝から夕方まで、そわそわし続けていたせいで精神がかなり削られた。
胃のあたりがきりきりと痛い。



どうやら緊張……しているらしい、侑吏くん相手に。



────キーンコーンカーンコーン



チャイムの音は放課後が始まる合図。
挨拶が終わると、みんな思い思いに教室を出て帰っていく。


もちろん、侑吏くんのそのうちの一人なわけで。


扉の近くの席に座る彼が早々に教室を後にするのが見えて、慌てて立ち上がった。



捕まえるなら、今しかない。




覚悟を決めて、侑吏くんを追うべく廊下を出────ようとした。




「久住ー」




最悪、とつぶやく。
もちろん心の中で、だ。



今一番、声をかけられたくなかった────ニッセンの声。


どうしてこうも、タイミングよく邪魔しに現れるかなあ。