侑吏くんはもう十分、体当たりでぶつかってくれた。
私ね、なんだかんだ嬉しかったんだよ。
知りたいって言ってくれたことも、知ろうとしてくれたことも、気持ちを言葉にしてくれたことも。
ハル以外どうでもよくて、それ以外の全てから目を背けて、それでいいやって思っていた私の世界に、無遠慮にずかずかと踏み込んできて、嵐みたいにかき回して。
そんな、イレギュラーが侑吏くんだった。
正直めちゃくちゃむかついた。
大嫌いだって最低だって思った。
口は悪いし、気もつかってくれないし、不真面目だし。
「なんで好きになっちゃったかなあ……」
理由なんてないと思う。
だけど、侑吏くんがいいって思う、それだけは確かなの。
私はまだ全然、侑吏くんにぶつかれていない。
今まで散々退けてきたから、思っていることの半分も伝わっていないだろう。
麻美の言う通り、今がぶつかりどき?
当たって砕けどき?
うん、もう砕けてもいいか。
今更だって笑われても、何言ってんだよって馬鹿にされても、もうなんでもいい。
なんかもう、知ってほしい。
「……よしっ」
明日だ。
明日にしよう。
思い立ったが吉日だもんね。
むんっ、と気合を入れて。
侑吏くんも私に対して、こんな気持ちだったのかなあ、と思うとたとえ過ぎ去ったことだとしても、愛しく思えて頬がゆるんだ。



