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放課後。
家に帰ると、真っ先に自室に入る。


────もうハルと一緒に登下校はしていない。家に寄ることもない。

修学旅行を境に、というよりはハルに告白されて以来。



寂しくない、と言えば嘘になるだろう。
だって、ずっと一緒にいたんだ。

小学校に上がる前から、ごく最近までずっと。



でも、その寂しさで辛くなったりはしない。
傍を離れるのが怖いとは、もう思わない。

きっと大丈夫だ、って何の根拠もなく確信している。



ぼふっ、と制服のままベッドに飛び込んで。




「……あ」




偶然目が合った、プリンを模したキャラクターのぬいぐるみ。

きゅるんとした瞳とプリン形のフォルムが可愛いそれは、お祭りで侑吏くんがとってくれたものだ。


そのときのことを思い出すと同時に、頭の中でほわんと侑吏くんの姿を思い浮かべて。





「……〜〜っ」





ベットの上でじたばたと手足を動かす。
なんかもう、色々とだめだ。


自覚したとたんに、気持ちの収拾がつかなくなっている。
日に日に大きくなって、そのうちほろりと溢れてしまいそう。



口にすれば、どうなるんだろう。
侑吏くんの目の前で────。




「……好き」



ぼんっ、と顔が熱に染まる。


うあ、想像だけでだめだ。
小っ恥ずかしい、こんなの。




『ぶっちゃけちゃえばいいのに』




昼間、麻美にかけられた言葉がよみがえる。
ぶっちゃけ……告白、ってことだよね。



私が、侑吏くんに。



……でも、きっと私が頑張る番なんだよね。
それは、わかっている。