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「はー……」



深いため息をついて、机にべたりとうなだれる。

すると、私を一瞥して。



「いやあ、恋わずらいだねー」

「っ!」



しれっと言ってのける麻美。
そんな彼女に驚いて顔を上げる。



昼休み。

何食わぬ顔でお昼ごはんのサンドイッチを頬張っている麻美に思わずたずねた。




「麻美はどこまでわかってるのっ?」




私は聞かれないと話さないタイプだし、麻美は情報通ではあるものの、むやみに探りを入れたりはしない。

毎日何かと一緒にいるけれど、麻美には話していないことも多いのだ。


だから、知らないはず……なのに。




「仁科くんとのこと、色々吹っ切れたんでしょー?」

「なんでそれを……!」

「結構顔に出やすいよねー、花乃って」

「……うそ」




思わず顔をぺたぺたと触る。
そんな私に麻美はくすくす笑って。




「それで、佐和くんにご執心ってところでしょ」

「う、」



バレバレだ。
筒抜けにもほどがある。




「花乃が佐和くんかー」

「……ひとに言われると余計に違和感」




私が侑吏くんのことを好き。

言葉にすると、やっぱり変っていうか。むずかゆいというか。