「ないないないない絶対ない! 100パーないから!」
身振り手振りをつけながら訴える。
なんてことを言うんだ。
「そう?」
「そうに決まってる!! ……っていうか、なにを根拠にそんなこと思ったの……」
げんなりしながら尋ねると。
「会話のテンポ、息ピッタリだったんだもん。花乃があんな風に男子と話すの初めて見たし、佐和くんもあんなに活き活きしてるところ初めて見たかも〜、なんてね」
息ピッタリ、はさておき。
そりゃあ、あんなに嫌いな人、人生で初めて出会ったんだし。
佐和くんは単に私をからかって楽しんでいるだけだと思う。
「それに、嫌よ嫌よも好きのうちって言うし?」
「言わないっ!! 私の嫌いはそのまんま嫌いなの!」
っていうか、そもそもおかしいんだよ。
嫌よ嫌よも好きのうち、なんて。
嫌は嫌、好きは好き。
そのふたつって交わらないと思う。
少なくとも私の中では、絶対交わらない。
「そ〜お? 入れちゃえばいいのに。恋愛相手候補に」
「誰が入れるかあ!」



