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観光ももちろん楽しいけれど、修学旅行の醍醐味といえばやっぱり夜。
だって、普段はこんなに大勢でお泊まりすることなんてないもんね。



初日の宿泊先は旅館。
夕食のあと、お風呂から上がって部屋に戻ると畳の上に布団が敷かれていて。



さっそく皆でごろんと寝そべった。
枕を真ん中に集めて、頭を寄せる。



今日、同じ部屋で泊まるのは私と麻美を含めて4人。
就寝の班はクラス内で自由に決めたの。



とはいえ。
私は麻美以外の女の子とはほとんど喋ったことがない。
そのため、他の二人とは一緒に話すのははじめて、なんだけど。



大丈夫そうだ。
二人とも、気さくですっごく話しやすい。

修学旅行特有のテンションもあってか、すぐに打ち解けることができた。




「ねーねー、花乃ちゃんって好きな人いないのー?」

「あっ、それ気になってた!たしか、仁科くんとは別れたんだよねーっ?」




修学旅行の夜。
女子部屋で花が咲く話題といえば、やはり恋バナ。


他愛ない話を繰り広げているうちに、私たちの会話も自然にそちらの方向へ向かった。




「あ、うん。ハルとは半年くらい前に別れてて」

「だよね〜。すっごい噂になってたもん」