顔はやっぱり格好いい侑吏くんと、可愛い可愛い北村さん。
並んでいると、お似合いの恋人同士のようにうつる。
一度は振り払われた北村さん。
だけど、もう慣れているのか、臆することなくもう一度腕を伸ばす。
彼女の指先が侑吏くんに触れる、その寸前。
────触らないで
衝動的に駆け上がってきた強い感情に自分で驚いて、歩いていたはずの足がぴたりと止まった。
びっくりした。
どうして、私、そんなこと。
「花乃?」
「……あ、ごめんっ」
振り返った麻美が私を見て不思議そうにしていたから。
慌てて、気を取り直して班のみんなの背中に追いついた。
当然のことだけど、私たちの班と侑吏くんたちの班では次の目的地は異なるわけで。
どんどんと離れていく距離。
侑吏くんが見えなくなるまでずっと、私の目は無意識に侑吏くんと、その隣にいる北村さんのことを追っていた。
────あとからそのことに気づいて、そのあとはずっと頭の中を侑吏くんに支配されることとなったのだった。



