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【SIDE 花乃】


「ん〜〜っ」



抹茶パフェを頬張り、もだえる麻美。
彼女がこんな風にあどけない様子でいるのは珍しくて、思わずくす、と笑った。

麻美は元々スイーツが好きだけど、中でも抹茶は大好物なのだそう。



────バスでいつの間にか眠ってしまっていた私が、目覚めたのはちょうど京都に到着したタイミングだった。



そして、あらかじめ決めてあった班での自主研修────という名の自由行動の最中だ。
集合時刻と場所だけが決められていて、あとは完全に自由なんだよ。



私は麻美と同じ班。
これは示し合わせたわけではなく、くじの結果で偶然なの。

すごいよね、強運。



私たちの班は清水寺や八坂の塔など、京都に行くなら外せないスポットを一通り巡ったあと、休憩をかねて、念願の抹茶パフェを食べるべく、カフェに入ったというわけである。


平日だからか、すごく混んでいるということもなく、すんなりと店内に案内されて。
登場した抹茶パフェは、それはもう絶品だった。



こればかりは、麻美の事前リサーチに感謝だ。
ここ最近の休み時間、ずっと京都のお店を調べることに専念していたからね。


みんながパフェを食べ終えたタイミングで、お会計を済ませてお店を出る。
外に出た瞬間に爽やかな風が髪をさらりと撫でて、秋だなあ、とふと実感した。


我先に、と次の目的地に向けて歩き始める麻美の背中を慌てて追う。
何気なく視線を道の先に向けると。