墜落的トキシック

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────どれくらい眠っていたのだろうか。



ぱちり、とまぶたを開けて最初に視界に飛び込んできたのは白い天井。


う、と吐き気が襲ってくる。
目を閉じて堪えた。



すると、消毒液の匂いをより鮮明に感じて。
そっか、ここ、保健室だっけ……と記憶を手繰り寄せた。



たしか、体育の授業で倒れて、それで。
それで、侑吏くんが連れてきてくれたんだ。

……強制連行、とも言えるけれど。


でも、おかげで寝不足はかなり解消された気がする。ぐっ、と伸びをすると。



「起きたのかよ」

「ひっ!」



すぐ近くで声がして思わず肩が揺れた。

まるでお化けにでも遭遇したかのような態度を取る私に、怪訝に顔をしかめたのは、もちろん侑吏くんだ。



『ひとりに、しないで』



そこで、急にクリアに思い出す。


眠りに落ちる直前、あろうことかあんなことを口走ってしまったこと。

手を繋いでもらったこと。




う……穴があったら入りたい気分だ。
じわり、と頬に熱が上った。



もしかして、侑吏くんは、私が起きるまでずっとここにいてくれたのだろうか。