墜落的トキシック



「佐和?」



先生の驚いた声。


当たり前だ、同じ体育の授業とはいえ、男子は女子とは別メニュー。
隣のコートでバスケットボールをしていた。

そんな中、侑吏くんが現れたのだから。


呆然としているうちに、先生の許可が降りたらしい。



「っ!」



ひょい、と侑吏くんが私の体を持ち上げて、体育館の出口に向かっていく。


侑吏くんのお姫様抱っこは二回目だ。
前回は恥ずかしさのあまり必死に抵抗したけれど、今はそんな気力はない。


大人しく、されるがまま。



「おまえ、体熱いな」

「……そうかな」

「熱、あんじゃねーの」



心なしか、侑吏くんの声が優しい。
くすぐったくて目をぎゅっと閉じた。


ひとに抱えられている感覚にはやっぱり慣れないけれど、そこに不安はない。


落とさないようにしっかりと力が込められているのが伝わってくるから、安心する。

だけど、うらはらに回る腕の感触には鼓動が速くなった。


そういえば。



「……どこに向かってるの?」

「あ?保健室に決まってるだろ」