「貰い物だから……それじゃなきゃ意味ないの」

「貰い物?」





怪訝な顔をした佐和くん。

なんでこんな人にこんなこと、話さなきゃなんないの……と思いながら口を開く。




「そう。ハルから貰ったものだから、返してくれなきゃ困る……っ」




ミントグリーンの色合いが綺麗なシャーペン。

それは、ハルが付き合うよりも前に、誕生日プレゼントのひとつとしてくれたものだ。



たしか、中学一年生の頃。





「ハル?…………ああ、仁科春樹」




納得した様子の佐和くんは、私の瞳をじいっと見つめて。


なるほどね、と呟いた。




「久住さんってまだ仁科のことが好きなんだ」


「……っ」


「振られたくせに、性懲りもなく、ね。……虚しくなんねーの?」




スカートの裾をぎゅっと握りしめた。

もういいよ。



佐和くんなんかにわかってもらわなくたっていい。

言い返すのは諦めて、ただ静かに懇願した。





「……お願い、返して」