屈辱にも程がある。

なんで私が頭下げなきゃなんないの……とはらわたを煮え繰り返していると。



「ふーん? まあ、返してやんないけど」

「はあっ!?」




ちょっと待って。なにそれ。



目を見開いた私の眼前で、佐和くんは左手で器用にくるくるっ、とペン回しをしてみせた。


呆気にとられていると、そのままマジックみたいにシャーペンを隠してしまう。




「か、返してくれるんじゃないのっ?」


「謝ったら返すなんて誰が言った?」


「さ、最低……!」





やっぱり詐欺師じゃん。

っていうか、それなら謝る意味なんてどこにもなかった。

ただの謝り損……というか屈辱損。





「そんなに返して欲しい?」




どこまでも上から目線な佐和くんに、苛立ちながらも素直に頷いた。




「大切にしてるのっ」

「ただのシャーペンじゃん。どこにでも売ってるだろ」




なんでもない風に言った佐和くんに思いっきり首を横に振った。


違うよ。


……売ってないよ、どこにも。