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それから帰りはそのままハルの家に向かった。
いつも通りのことだ。



「花乃、まだ課題終わんないの?」

「う、委員会で忙しくって……っていうのは言い訳なんだけど」



空調がばっちりの部屋で、学校の課題に取り組んでいる。


今は、数学の問題集。
指定の範囲が結構広くてまだまだ終わりが見えない。


ちなみにハルは夏休みの課題はとっくの前に終わらせている。

昔から、要領が良いんだよ。そして、計画的なの。



そんなハルは私が問題に苦戦するのを後ろから見守っていたのだけれど、しばらくしてソファの私の隣にすとんと腰を下ろした。膝がぎりぎり触れるか触れないかくらいの距離だ。



「今日も学校行ってきたんだっけ?」

「あ、うん。でも、今日で夏休み分の仕事は終わったよ」

「そっか。お疲れ様」



ふわりとハルが微笑んだそのタイミングで、手強い一問を解き終えてシャーペンを一旦置いた。



「疲れた〜……」



集中力が全然保たない。
はー、と息をついた私にハルがこてんと首を傾げる。



「休憩する?」

「う……、まだ全然進んでないのに……」



本音を言うと休憩したい。すごく。
でもさすがに甘えすぎじゃない?とも思う。



「疲れてるんだったら、ちょっと息抜いた方が効率いいよ」

「じゃあ、ちょっとだけ」



結局、ハルの提案に乗ることにしてぐでーんと伸びをする。

その間に一瞬その場を離れたハルは、何かを手に帰ってきた。