……終わった。最悪だ。

毎朝日課の星座占い。
今日に限って見るのを忘れたけれど、絶対12位だったんだ。



「ねえ、久住さん」




ぞわっとした。

糖分がたっぷり含まれていそうな甘くて優しい猫なで声だけど、この人の場合は背筋が凍る。



……非常にまずい。

たぶん、これは、怒らせた。




「誰の話?」

「……別に関係な────ううっ?!」




関係ないでしょ、と続くはずの言葉は途切れる。

ふい、と顔をそむけようとした私の両頬を片手でぎゅむ、と挟んでぐりんと戻したから。



もちろん、佐和くんが。




「俺の話だよな? 全部聞こえてんだよ」




仕方なく佐和くんに視線をうつす。

上がる口角が逆にこわい。




この男が爽やか好青年でないことがわかった時点で察している。


─────怒らせたら、絶対こわい。面倒くさい。よって、この状況は最悪。




「ふぁにゃふぃふぇっ!」

「何言ってるか全然わかんねー」



離して、と訴えるけれど頬を潰されているせいでちゃんとした言葉にならない。


馬鹿にしたような目を向けてくる佐和くんに、昨日と全くおなじむかむかが込み上げてくる。