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「ん〜〜美味しい!」

「……すげーアホ面」



熱々のたこ焼きを頬張りながら感嘆の声を上げる私を、侑吏くんは冷ややかな目で見つめている。

お祭りで食べるたこ焼きって、格別に美味しいよね。屋台マジックだ。



「侑吏くんもいる?」



はい、と爪楊枝を渡そうとするも拒否される。



「熱いの無理」



眉をひそめてそんなことを言う。
猫舌なんだ。意外。


可愛いところもあるんだなあと思う。
でもたこ焼きは熱々が美味しいのに、食べられないなんて損してるな。


そんなことを考えながら、侑吏くんに腕を引かれるままに歩いていると。



……あ。




「何?」



突然足を止めた私。
手を繋いでいるのだから、必然的に侑吏くんも立ち止まることになる。


振り向いた侑吏くんが不思議そうに、私の視線の先を辿る。




「……あれか」



理解したように呟いた。




「可愛い……」

「どこがだよ、趣味悪」



私の目を惹きつけたのは、射的の屋台に景品として並べられているぬいぐるみ。


黄色い台形のフォルムに、てっぺんは茶色。
プリンに手足が生えたキャラクターのぬいぐるみだ。可愛い。



目を輝かせている私を一瞥して、侑吏くんは。



「プリンならなんでもいいんだな」




は、と笑って、それからずんずんとその屋台の方へ近づいていく。


そして。



「これ、持っとけ」



侑吏くんが持っていた焼きそばのパックが入った袋を手渡される。

そして、繋いでいた手がするりとあっけなく離れた。