『そのまんまだろ。行くんだよ、祭り』
「……待って一応聞くけど、誰と誰が?」
『俺とおまえに決まってんだろ。馬鹿なの?』
まるで決定事項のごとく、さも当然というように告げられて。
侑吏くんがあまりにも堂々としているから、私の感覚の方がおかしいのかと勘違いしそうになる。しないけれど。
おかしいのは、明らかに、侑吏くんの方だ。
「ちょ……っと待ってよ! 行くわけないし、それに、侑吏くんお祭りなんか行かないって言ってたじゃん!」
『行きたい気分なんだよ。それとおまえには拒否権ないから』
「はあ!? 理不尽……!」
『誰のおかげで赤点免れたと思ってんの』
う、と言葉に詰まった。
その件は感謝している。とても。
だけどそれとこれとは別……!
そう言い返すべく口を開きかけたのに。
『明日17時、神社の鳥居の前』
一方的に時間と場所を言い残されて、ぷつんと通話が切れた。
ありえない。意味がわからない。
そのあと、何度も抗議のメッセージを送ったけれど、既読すらつかなかった。



