うっ、と言葉に詰まる。
……図星だ。
「言ってごらんなさいよ〜。変にセットしてないサラサラの黒髪も、人畜無害そうな黒がちの瞳も、どタイプでしょうに」
確信を持ったうえで口角をあげる麻美を軽く睨む。
……“顔だけは” どタイプだから、余計癪に障るんだってば。
「佐和くんなんて大嫌い」
「今日何回目よ、それ」
「……ハルの方が何千倍もかっこいいよ」
世にいうイケメンではあるけれど、私のタイプど真ん中ではない。
生まれつきの茶髪に猫っ毛、ヘーゼルナッツ色の瞳。
色素が薄くてハーフっぽくて、見た目はちょっとチャラいかも。
でも一番だ。
私の中ではずっと一番で、二番も三番もないの。ハルだけが私の────。
「それも何回目?」
くす、と麻美が笑う。
「本当に花乃ってば仁科くん大好きなんだから。そりゃあその調子じゃ、佐和くんのこと勘違いしてたっておかしくないか〜」
他の女の子たちなら誰でも知ってるようなことなんだけどね、と呟く。
「佐和くんも驚いただろうな〜。自分のことを根っからの爽やかくんだと信じてる人がいて、急に説教じみたこと言ってくるんだから」