「何が違うんだよ」
「これは……っ、その、多分昨日」
心当たりがあるとすれば、昨晩ハルの家に泊まったときだ。
制服がしわにならないように、ハルが私のことを着替えさせてくれていて。
入れ替わったとしたなら、多分そのとき。
だから。
「やましいことなんて何もないよ。ハルの家に泊めてもらっただけで……」
「あっそ。どうでもいいけど」
いつもと同じ適当な相槌、だけどいつもよりすっごくトゲトゲしい。
ふい、と顔を背けた侑吏くんに、私はとっさにその袖を引いて引きとめた。
「待って、侑吏くんは絶対勘違いしてるっ!」
「……」
「ハルと私は何もない。侑吏くんが女の子たちといちゃいちゃしてるのとは、わけが違うの!」
「何も?」
私の台詞にどこか引っかかるところがあったのか、侑吏くんは眉をひそめて問うた。
「何も」
静かに答えた私をじっと見つめて、それから。
「あいつは」
「……?」
「あいつは、何もないって顔じゃなかった。おまえのこと────」
何か言いかけて、つぐむ。
私が首を傾げても、その先が紡がれることはなかった。



