そして、なにかを噛み締めるみたいにゆっくりと口を開く。




『好きだよ』



じゃあなんで、と食い下がろうとしたけれどハルがそれを遮った。





『だけど、俺が花乃に思う“好き”は、花乃が俺に向ける“好き”とは全然違う』



────だから、終わりにしよう。





ハルがこんなにもはっきりと、私に“拒絶”を示したのははじめてだった。

花びらが落ちてくるみたいに告げられた終わりを、私は黙って受け止めるしかなかった。




だって、ハルがここまで言うなら、もう駄目だ。



ハルの言っていることはこれっぽっちもわからなかった。

ただ、終わりなんだという事実だけを握りしめて。





『これからも、俺は花乃のそばにいるよ。縋ってもいいよ。……それは、変わらないから』





優しいハルが、おまけみたいに付けた優しさは全然優しくなかった。




────『何でもわかるよ』



だったら、どうして、って思ってしまうんだよ。



ハルを失ったら、私は息もできなくなることを、それが決して大袈裟じゃないってことを、

ハル自身が一番、わかっているくせに。



いつも優しい、くせに。




何でもわかるなら、
優しさなんていらないから、私を突き放さないで欲しかった。




“ひとりにしないで”





─────なんて、これは私の我儘だ。