そのあともしばらくハルの部屋で過ごしていると、落ち着きからか、なんだか眠くなってきて。
くあ、とあくびが漏れる。
そんな私の様子に気づいたハルは。
「花乃、もう帰る?」
こてんと首を傾げたハルに、帰る、と答えようとしたけれど。
急に、雨音と気持ち悪いめまいの感触を思い出して。
「……今日、このまま泊まってもいい?」
「いいよ」
頷いてくれるのは、わかっていた。
ハルは、優しいから。
優しいの、ハルは、ずっと。
安心して、もう一度大きく、ふわ、とあくびを零すと、ハルはやっぱりどうしようもなく優しく笑うんだ。
「おやすみ、花乃」