無意識に、ぎゅう、と眉間にしわが寄る。
もう十分わかっている、侑吏くんがそういう人なんだって。
誰とでもそういう“行為”をすることだって。
忘れていたわけじゃない。
ただ、こんなにしっかり目の当たりにしたのは初めてだっただけ。
ほとほと呆れる。
私が委員のことを真面目に考えている間に、侑吏くんはそういうことをしていたんだって思うと、ふつふつと怒りのような何かが湧き上がってくる。
ほんと、侑吏くんって─────
「……」
最低?
大嫌い?
後ろにうまく言葉を繋げられなくて、思考にブレーキがかかった。
呆然とする私の耳にもう一度、嬌声が届いたところで我に返る。
「……帰ろ」
もういい、今日は帰ろう。
予算のことはまた明日聞けばいいし。
ここで待っていればいつか出てくるだろうけど、そんなの色んな意味で私が無理だ。
……帰ろう。
ハルも待っているし。
小さく息をついて、置きざりにしたままの荷物を取りに行くべく教室に向かおうと足を動かした、そのとき。
「……っ!」
雨。
すん、と空気を吸った私の鼻に届いた匂い。
雨の匂い。
梅雨の時期だからっていうそれとは、全然比べ物にならないほど強い。
心臓が嫌に跳ねた。
ざらざらとした何かが冷ややかに身体を駆け巡る。
じわり、と気持ちの悪い汗が滲んで、息が荒くなる。



