ゲンキンな私は、ハルが笑ってくれるならまあいっか────なんて、呑気に考えていると。




「花乃」


ハルが私の名前を呼んだ。
その声に誘われるように顔を上げると。




視線が絡む。



ハルのヘーゼルナッツの瞳がまっすぐにこちらを向いていた。


そして、薄く唇が開いて。





「……気を────」



また、すぐに閉じる。

き、お……?




「え……?」



きょとん、と首を傾げると、
ハルは視線を私から外した。

そして、口角を緩くあげて。




「……ううん、何でもないよ」


「ほんとに?」


「うん」


「変なのー」




私の返事に、ハルはふわふわと笑っている。

陽だまり、みたい。



おそろいの帰路、おそろいの歩幅。



あーあ、同じクラスなのも隣の席も修学旅行実行委員も、ハルとだったらなあ、なんて。





「家寄ってく?」


「うん!」





いつも通りの問いかけ。

前のめりに頷いた私に、ハルはやっぱり優しく笑ったんだ。