ハルの質問に、ふるふると首を横に振る。




「ううん、各クラス二人で────」

「佐和と?」

「っ!」



言い終わらないうちにハルが被せてきた。


普段、ハルはこんな風に食い気味に発言したり、しない。




……怒ってる?
ううん、そうじゃない。



表情でわかる。
怒っては、いない。



だけど。

ハルのまとう空気がぴりっと緊張感を持っていることは確かだ。




「……ハル?」




でも、どうして、急に。

私に名前を呼ばれたハルは、はっとしたように表情を緩めた。



「あ────いや。そっか、佐和。それで、花乃は不機嫌なわけだ」



くすくす、と可笑しそうに笑うハル。

目尻にできた皺を見つけて、いつも通りのハルだ、と安堵する。




「そう! 隣の席だけでも嫌なのに、実行委員なんて……! それに、ニッセンは私と佐和くんが付き合っているなんて酷い勘違いするし!」





絶対ありえないのに!と頬を膨らませてむくれた私。



その膨らんだ頬を指先でつんつん、とつついてハルは肩を揺らしている。