「入院なんて、初めてね。」

「そーだよ、病院だって超久々!どこに何があるか分かんないもん!」


自慢げに言うとお母さんは、クスクスと笑った。


「そーよね、菜摘は昔から風邪も引かないし、冬でも上着着ないで飛び出していくし。ある意味問題児だったもんね。」


そのときのことを思い出したのか、笑い始める。


「あー!やめてよもういい!昔のことなんて知らない!」


恥ずかしくなった私は、わーわーと騒いでいた。

しばらくして、荷物を持ったお兄ちゃんが病室へと入ってきた。

1日の検査入院だから、大したことない荷物だけど。


「ほらよ。」

「おっ、ありがと!」


投げるようにして渡された荷物を受け取る。


「それじゃ、そろそろ私たちは帰るね。」

「1人じゃ寝れない、なんて、泣くんじゃねーぞ!」

「うるさいな、泣かないよ!!」


面会時間終了が近づいてきたので、お母さんたちは帰っていった。