お兄ちゃんに引っ張られながら歩く。

いつもは、私よりも遅くダラダラと歩くくせに、今日は競歩並みに速い。


ついていくのに必死になり、お兄ちゃんを睨む。


お兄ちゃんめ、

病人だと思うなら労ってよ馬鹿!!

歩くの速すぎだよ!ばーかばーか!


そんな風に脳内でお兄ちゃんを罵っていると、あっという間に家の前。

お兄ちゃんは、私を置き去りにして家に入っていった。


「母さん!!」

「あら、早かったわねっ!優勝できたの?」

「それどころじゃねーんだ。」

「え、なになに。1回戦で負けたの?」

「ちげーよ、1回戦は勝ったって!!」

「え、それじゃ、いつ負けたの?」

「準決勝!」

「あら、なかなかいいじゃない。」

「うん。って、そんなのはどうでもいいんだよ!!」


お母さんのペースに流されるお兄ちゃんは見ていて面白い。

でも、学校から休憩なしで小走りっほくきたから、調子がどんどん悪くなってきて、私はその場にしゃがみこんだ。