「あ、えっと、え、鈴ちゃん、体調は?だって…」


少しずつ思い出してくる記憶の中、鈴ちゃんがベッドで寝ている状態を思い出す。


「完治とは言えませんが、日常に支障はないほど回復はしました。」


ニコリと笑う鈴ちゃんに、
私は、心の底からほっとした様な、そんな温かな気持ちが湧き出して驚いた。

目からは自然と涙が溢れ出す。


「えっ、お姉ちゃん!?あ、あの、」


突然泣き出した私に、鈴ちゃんは、少し後ろに立っていた俊くんに助けを求めるような視線を送った。

数歩の足音と共に、トントンと優しい掌に背を叩かれて、私は、涙を拭った。


「鈴ちゃん、そっか、鈴ちゃんなんだ…」


ふんわりと浮かぶ記憶は、どこか他人事のような、本当にあったのか分からないような、そんな記憶だった。

感情だけが先走るような、そんな不思議な感覚を確かめるようにそう呟く。


そんな様子を見た鈴ちゃんと俊くんは顔を見合せて微笑んだ。