目覚まし時計が鳴って、目を覚ます。

さすがに、受験の日は、自然と起きることができた。


いつもよりスカートの長い、きちんとした制服に身を包み、準備をする。


「よし、忘れ物ないし…、痛っ…。
えー…なに、これ…。」


急な頭痛に、私は動きを止めた。

ぐるぐると視界が動き回って定まらない。

足元もふらふらして、頭はがんがんと痛む。

私はその場に尻餅をついた。


……なにこれなにこれ。


今までのと全然比べ物にならない。

立っていられなかった。


焦る頭を必死に落ち着かせようと、頭を押さえる。

いつものように少し待ってみても、ずっと続く頭痛。


…やばい。そろそろ降りていかないと、お母さんたちが。



無理矢理立ち上がって、ふらふらしながらも歩き出すと、気合いが効いたのか、ふらつきとめまいは少しずつ、収まってきた。


それにひと安心して、階段を降りる。


頭痛も、続いてはいるものの、さっきほどの痛みではなくなったので、私は普通にご飯を食べて、受験会場の高校へと向かった。


「……いてー。」


通学路を歩きながら、ついつい頭に触れる。


なんにもなってないのになー。

何で今日に限って、こんなに続くんだろう。


受験への自信だとか、これまで勉強してきたこととか、そういうのなんてもう関係なくって。

頭痛の方ばかりに意識がいってしまう。


会場で、同じ教室だった紗南と晴樹が話しかけてきても、上の空な反応しかできなかった。