「…結局、そのときは、来なかったんだけど。」

「そんなことが、あったんだ。」


だから、お見舞いに来た次の日から、普通に俊くんはやってきたんだね。

私は、少し納得して、頷く。


「うん。で、もしもの約束を守ろうと思ったんだけど、そこからは予想外。菜摘が大翔を覚えてなくて。

それで、恭弥たちと話したんだけど。」

「…うん。」


「恭弥には『無理して思い出させると辛いこともあるだろ。』って言われて、

綾羽ちゃんには『忘れてる間にってなんか…仕方ないかもだけど…』って言われて。

結局は俺の判断。
菜摘が思い出すまで、先には進まない!ってとこに辿り着いたわけ。」


私のことを思った2人の意見に、私は笑みを零した。


「綾羽と恭弥、言いそう」


病気になる前も、なってからも、治ってからも、あの2人には、助けられてばっかりだ。