そんな日が続き、受験を間近に控えた3月。


どれだけ日が経っても、突然現れる頭痛やめまいは治らなくて。

さらに言えば、少しずつ酷くなってきているようにも感じる。


ただそれは、突然起きるだけで長く続くわけでもないから、私は変わりなく毎日を過ごしていた。


「…あーー、早く受験なんて終わればいいのに。」


そうぼやく恭弥は、最近いつも以上に口数が減り、疲れているのがわかる。


「なに言ってんのよ。どうせ、もう範囲完璧なんでしょ。」

「そーだよ、恭くん頭いいもん。」


女子2人に睨まれた恭弥は慌てて口を閉ざす。


そんな様子を見ていた私と晴樹は同時に笑いをこぼした。




「まー、どれだけ頑張ったってあと3日だよ。」


私が何気なく呟くと、晴樹が一気に青ざめる。


「うをおおおお、俺は帰って勉強する!じゃあな!!!」


急に走り出した晴樹に驚いていると、綾羽がニヤっと笑う。

綾羽は大きく息を吸い込んで、既に遠くにいる晴樹に向かって叫んだ。


「次に会うのは、試験会場だから!!頑張ろーね!!」


「うをおおおおお!!!!」


微かに晴樹の叫び声が聞こえたかと思うと、晴樹はすごい早さで見えなくなってしまった。


「よし!そんじゃ、私も頑張りますわー。」


晴樹で思う存分遊んで、満足したらしい綾羽は、かっこよく背中を向けた。

綾羽に続いて、みんなそれぞれの家へと帰る。


「じゃーねー!!!」

「おう、またな。」

「ばいばーい!」


……帰ったら、ラストの追い込みかぁ。

考えただけで頭が痛い。なんて、縁起でもない。


1人になった道で、私はそんなことを思いながら家路についた。


勉強は、頭に詰め込めることはすべて詰め込んだと言えるくらい、既にやっていた。

もともと、家からの距離とお兄ちゃんで選んだ高校。

そこまでレベルの高い高校ではないから、普通に受ければ受かるだろうと、余裕で構えていた私。

……だけど、受験当日は思いにもよらない形でやってきた。