「…いっ、て。」
叩かれて痛む頬を押さえつつ見ると、俺の前には恭弥ではなく、目に涙を浮かべた綾羽ちゃんが立っていた。
恭弥は、綾羽ちゃんの行動に驚いたようで、戸惑いを隠せない様子で俺の手を離す。
「シュンさん、最低だよっ。1番辛いのは菜摘なの。それを堪えて笑ってんの!!私たちはっ……菜摘を、支えなきゃっ、いけないのに!!
シュンさん菜摘の顔ちゃんと見たの?見てなかったよね?
部屋を出たあと、菜摘…泣きそうな顔して言うんだよ?
泣きそうなのバレバレなのに、
私達にもシュンさんにも笑いかけてくれてたのに……!
不安にさせてどうすんのよっ!!」
「綾羽。そのくらいにして。」
「なんで、シュンさんが泣くのよ……」
恭弥の制裁に、綾羽ちゃんは悔しそうに俺を睨んだ後、しゃがみこんで泣き出してしまった。