「それは嘘だよね、中学違うもん」


一呼吸おいて、俊くんを見る。


「野球部で、隼人と一緒だったから。他中だったけど、友達だったんだよ。」


そんな話を聞いて中学生の頃を思い出した。

お兄ちゃんは、試合の応援に行く度、色の違うユニフォームの子達に囲まれて笑っていた。


「あー。え、でもそんなの、私たちは知り合ってなかったよね…?」


もしかして、また忘れている思い出があるのかなと心配になって確かめる。


俊くんはそれを察した様子で

「大丈夫、合ってるよ」

と優しく微笑んだ。


「そのときは、応援に来てるの見て可愛いなって思ってただけ。
でも、高校入ったら登下校で一緒になったし、めっちゃ元気でいい子だし。」


そんなことを思ってくれてたなんて、恥ずかしくて私は俯く。