「………………っ……」
「…っ…菜摘!!!!」
ベッドの上で、目を覚ますとすぐに、私の名前を呼ぶお母さんに抱きつかれた。
「…おか………さん。」
「そーだよ!!お母さんだよ…っ!」
当たり前のことを何度も何度も呟くお母さんはポロポロと涙を流している。
「…俺は、分かるか!?」
その後ろから、ひょっこり顔を出して聞いてくるお父さん。
「…わ、かるって……おとう、さん…」
私がそういうと、嬉しそうに笑ってから、すぐに背を向けて肩を震わせた。
「……あ、すいません。立花ですが、菜摘が目を…覚まして……っ」
その後ろで、冷静っぽくナースステーションに連絡するお兄ちゃん。
でもね…見えちゃった。
目、潤んでること。
……あれ、私。ちゃんとみんなのこと覚えてる?