ーーガラガラ…


目的としていた病室。

そこに着いたときには、私は肩で息をしていた。


「……りん、ちゃん。」


私が行ったのは、鈴ちゃんの病室だった。

あの日から、変わらず寝たきりの彼女。


私は、ベッドの横に膝をつき、鈴ちゃんの右手を握りしめた。


「鈴ちゃん。私、どうしよう……。

大好きな人がいなくなって、生きていけるのかな…。」


そう、弱音を吐き出したとき、

鈴ちゃんの枕元で小さく輝くものが目に入る。


「鈴にも渡したんだ。」


いつかの大翔の声が、あまりにも鮮明に頭に響いて、私は思わず周りを見渡した。


勿論、そこには、寝たままの鈴ちゃんと、心配そうに見守ってくれているお母さんしか居ないんだけど。


私はもう一度、鈴ちゃんの枕元に視線を戻して、輝くものに手を伸ばした。


それは、大翔が言っていた、ピンクゴールドの御守り。

外からの光が反射してキラキラと輝くそれが、あまりにも綺麗で。

その御守りに見守られるように眠る鈴ちゃんは、なんだか少しだけ笑顔なようにも見えて。


私は、久しぶりに本当に小さく笑みをこぼした。