「突然悪いね。」

「いえ…、あの、お仕事は…?」


成瀬さんは、困ったように笑う。


「仕事に手がつかなくてね。最近は、溜まっていた有休を消化しているんだ。」

「…そう、ですか……。」


私は、なんと返したらいいのか分からず俯く。

そんな私に、成瀬さんは口を開いた。


「治療、受けてないのか?」


私は、また細くなった腕を隠すことも無く、力なく笑う。


「…生きる希望が、無くなってしまったので。」


ぼそりと呟くと、成瀬さんは俯いて、そのあと突然私の手をとった。