「菜摘さん。
腫瘍が急速に拡大しているんです、このままだと本当に手術が出来なくなってしまうんですよ。」


皆が暗い表情を浮かべる中、私は静かに新川先生の言葉を受け入れた。

新川先生は、悔しそうに表情を歪める。


「なっちゃん…っ。大翔くんはなっちゃんが元気になることを望んでたよ…?」


葉瑠姉は涙を浮かべて訴える。


知ってるんだ。
大翔は私の幸せをいつも考えてくれてた。

でもね、私がダメなの。
大翔がいない世界で生きていく自信が無いの。

この悲しみを、受け止められないの。



「もう…いいんです。生きてたって辛いだけだから。」


大翔を失った私に、みんなの言葉は届かなかった。