大翔が亡くなってからの3日間は、通夜に葬式と慌ただしく流れていった。


外出許可を貰って参列したお通夜で初めて会った大翔のお父さん。

大翔とは違って、威厳に溢れた男らしい人だった。


…大翔が男らしくないってことじゃないよ。

それくらい、がっしりしてて逞しい人だったんだ。


そんな、大翔のお父さんが、隅にポツリと立ち尽くす私を見つけ、声をかけてくれたときには、驚いた。


「…菜摘さんですか。」


そう言った声は、低くきれいな声だったけれど、悲しげな。

聞くだけで泣きそうになるような。

そんな声だったことを覚えている。


「はじめまして、ですね。こんな形で会うことになってしまって…申し訳ない。
あなたのことは、大翔から聞いていました。」


大翔のお父さんから聞かされた話は、どれも初めて聞く話で。

聞いた私は、とっくに枯れたと思っていた涙を再び流した。