鏡に向かっておかしなところがないか確認した私は、家族が待つリビングへと向かった。


「おはよう、菜摘。」

「おはよう」


朝ごはんの準備をしながらも、キッチンから顔を出して言うお母さん。

そして、コーヒーを片手に新聞を読み、目を離さずに言うお父さん。


いつもの朝の光景に、私は笑みをこぼした。


「おはよー!!」


元気に挨拶をした私はキッチンへ向かって、お母さんが盛りつけたご飯を食卓へ運ぶ。

ちょうど、ご飯が全部並んだ頃、リビングのドアが開かれた。


「あ、お兄ちゃん、おはよ!!」

「……はよ。」


部屋の明るさに目をショボショボさせながら入ってきたのは、寝癖頭のお兄ちゃん。


とりあえず着てきただけ、

とも言える高校の制服は、まだブレザーのボタンも留めていなくて、ネクタイだって首にかけてあるだけだった。