「皆で、絶対合格しようね」
思わずそう呟くと、みんなは一度静かになった。
「なっちゃん、そんなの当然だよ!高校でも絶対みんなで一緒なんだから!!」
紗南の真っ直ぐな言葉を合図に、私達に再び笑顔があふれる。
「そうそう、高校も、大学も、その先もね」
紗南の頭を撫でながら、綾羽が言い、
「だな」「おう」
晴樹と恭弥も、当然と言うように頷いた。
「将来も、思い出話山ほどあるんだろうな〜、既に晴樹の面白エピソードは山ほどある訳だし」
恭弥が言うと、ニヤリと笑った綾羽が口を出す。
「例えばあれだよね、小6の給食の…」
「おいおいおい!黙れ黙れ!!!」
飛びかかろうとする晴樹と、そこから逃げる綾羽。
その様子を見ながら、紗南が隣に並ぶ。
「これからも、いっぱい思い出作ろうね。将来笑える楽しいやつ!」
「そうだね、楽しいこといっぱいしようね」
毎日、笑って、笑って、笑って。
くだらない話から真面目な話までして。
すぐ暗くなる冬の空に文句を言いながら、私たちは手を振って別れた。
皆と別れたあとは、家へとまっすぐ走って、勢いよく玄関のドアを開ける。
「ただいまー!」
「おかえり」
お母さんの声に、美味しそうな夕食の香り。
いつもの風景に、私はついつい笑顔になった。